聴けない事のもどかしさおすすめ度
★★★★★
OSCAとキラーチューンは今までに聴き倒していたし、PVも結構観ていたので、なんと言っても楽しみはこのDVDでしかお目にかかれない「閃光少女」。
良い曲だ。ずっとCMでちょこっとしか聴けなくて、このあいだミュージックステーションでやっと全曲聴けたのだが、こうしてオフィシャルのものを観るとこの曲の全貌というか世界観がようやく判って「やっと手に入れた」感を味わえた。
浮雲の尖りまくったOSCA、伊澤一葉のおしゃれなポップ「キラーチューン」に続いて亀田誠治は流石に貫禄の職人技でファン層の裾野を広げる勢いの、わかりやすくて親切で上質なJ-POPを聴かせて、コアなファンには東京事変の懐の広さを示して見せた。
ただちょっとこの曲、短い。もうちょっと聴きたい。映像ももうちょっと観たい。
先の二曲には慣れていたせいか枯渇感はなかったのだけれど、初めてのこの曲は「もっともっと」とおねだりしたい。
さて、この曲はCD発売しないというのが話題のひとつなのだが、このことに関してはミュージックステーションで椎名林檎本人が「ずっと、わざわざライブに来てくださったお客さんに特別なライブだけのプレゼントが出来ないものかと考えていて、CDでは聴けない、ライブでしか聴けない曲があっても良いんじゃないかと思ってこの曲をそういう風にした」というようなコメントをしていたので、まあ納得はしたのだけれど、でも考えてみれば事変のライブはプラチナチケットで、私などいつも八方手を尽くしても手に入れる事が出来ないのが現状で、ライブに行けるだけでもラッキーなのに、その上そんなプレゼントまでもらえるのか?という格差社会に憤ってしまったのだった。
だけどCMとタイアップしたりDVDで発売という事を考えると本当のところは「ライブでだけ」というより「CDでは手に入らない」というところがミソで、今はCDにするともう、データに変換したりしていつでも何処でもどんな形でも自由自在に聴く事が出来るのだが、逆に「それでいいのか?」というミュージシャン側からのリアクションだと受け取った。
「あんたたち、少しは苦労してここまでたどり着きなさい。この曲はクルマとか、歩きながらとか、トイレなんかじゃ聴けない。テレビの前で「さあ観るぞ」という覚悟をして座って観なさい聴きなさい」というメッセージであると。
決して著作権とかお金とかの問題じゃなく、音楽に接する姿勢に対する実に彼ららしい発想だと思う。
そしてOSCA〜キラーチューン〜娯楽(バラエティ)〜本作と続くテレビに徹底的に拘ったアートワークを改めて観れば、「閃光少女」はその最後の仕掛けとしてあらかじめ計画されていたに違いない。
あのリモコンであちこちチャンネルを変えているのは、「閃光少女」を観ようとしている私の手だったのだ。
はっきりいって、すさまじい出来です。
おすすめ度 ★★★★★
出来は非常に良いです。非常に洗練された魅力的なものになっていると思います。
こつこつお金を貯めてでも買う価値のある一品だと思います!