東野圭吾の初の連作短編集。大阪の小学校教諭の竹内しのぶを主人公とした作品群が収められています。ユーモア・ミステリであること、主人公が女性であるところは前作『ウインクで乾杯』を引き継いでいますが(連載開始はこちらの方が先ですが)、今作ではもうひとつ著者の出身地である“大阪”をキーワードとして導入している点が興味を引きます。単に大阪が舞台であるというだけでなく、盛んに大阪弁が用いられると共に、大阪らしい人柄というものを描きたいとの思いに溢れています。
この本が出たのは1988年で、宮部みゆきのデビュー直前ですが、宮部が得意とする子供の描写の巧みさが本作にも出ており、宮部はこの辺りに影響を受けたのかなという気もします。単に文庫版の解説を宮部が手がけていることからの連想ですが。個人的には大阪弁というものは苦手なのですけど、この本では大阪弁の台詞を気持ちよく読むことができました。
浪花少年探偵団というより、しのぶ先生事件簿では?(笑)おすすめ度
★★★★☆
初出誌が1986年というから、かれこれもう20年前の、東野圭吾さん初期の作品集ですが、とにかくキャラクターの造形がうまく、とても個性豊かなな面々が私たちを魅了し、まったく古さを感じさせない良作です。
いちおう事件が起こり推理物なのですが、20年前の作品ということもあって、トリックは斬新では有るが、最近のこりまっくた物に比べるといたってシンプルなものが多く、かえって新鮮さを感じられました。もっともこの作品は推理は味付けに過ぎず、しのぶ先生や彼女を取り巻く人たちの事件をとてもコミカルに描いており、独特の関西弁も手伝って、キャラクターの魅力を堪能する小説だと感じました。
短編の連作ということで、テレビの連続ドラマをあたかも楽しんでいるようなつくりに感じられたのは私だけでしょうか。一遍一遍は短いので、寝る前に一遍読むという楽しみ方がお勧めですよ。
それにしても東野圭吾さんの作風の多岐さは凄いですね。そしてほとんどが傑作ぞろい。コミカルな小説を書くのは実は非常に難しいのですが、この小説の面白さが、氏の才能を語っています。
関西弁の魔力おすすめ度
★★★★★
東野圭吾氏の作品をいくつも読んだ中で、これは異色の作品でした。とにかく”おもしろい!”
正直いって、推理なんてどうでもいい。(あ、もちろん事件の方も面白いんですよ。)それよりなにより、しのぶセンセと悪がきたち、大阪府警の万年ヒラ刑事コンビが織り成すドタバタコメディーは、笑いあり、涙ありでとにかく飽きない。事件をきっかけに新藤刑事がしのぶセンセにほれてしまうが、センセが見合いをしたことで、恋ガタキがあらわれ、こちらの恋の行方も気なるところ。とはいえ、今の段階では新藤刑事が一方的にほれてるようですが。
なにはともあれ、関西弁というのは不思議なものですね。少々きついことを言ってもきつく聞こえない。この物語を標準語で書いたら、味も素っ気もないでしょうね。関西弁にしか出せないおもしろさがあふれています。
この小説の続編『しのぶセンセにさよなら』もおすすめです。
元気でまっせおすすめ度
★★★★★
東野圭吾はこんなんも書けるんかいな、というのが第一の感想。もちろん良い意味でに決まってるがな。しかも珍しく女性が主人公で、長編ではなくシリーズの短編集。まあ、この作品にも東野の『本格推理』癖は出ているけど。アリバイ崩し、ダイイングメッセージ、密室…。けれどもそれは今回あくまでも付けたしでんな。ここで書かれているのは「黙っていたらべっぴん」のしのぶセンセと、彼女と対等にやりあう小六のガキどもとの、可愛くて子憎たらしい教育外のやり取りですわ。それがとても生きいきと描かれていて、久しぶりに本を読んでいて元気が出てきましたで。東京下町の代表格宮部みゆきが解説を書いているのもうなずけまっさ。
大変良く出来ています。
おすすめ度 ★★★★★
これが発売されるのを心待ちにしていました
。値段の割には上出来。
すばらしいものだと感じましたので☆5評価としました。