叙情的な文章で今なお人気の根強い作家ですね。純文学ではコロンビア大学在学中にF・S・フィッツジェラルドと比較される位でしたが、生涯の大半をホテルで過ごした孤独な方だそうです。ウィリアム・アイリッシュ名義でも有名です。「黒いカーテン」「幻の女」も面白かった。彼の伝記「コーネル・ウールリッチの生涯」(F・M・ネヴィンズ著)も興味深い。
最高のウールリッチ節おすすめ度
★★★★★
甘くやるせない独特のウールリッチ節が満喫できるサスペンス小説の傑作。人によっては「幻の女」より本作を上に見るファンも多いだろう。
事件は簡単に言ってしまえば恋人を殺された男の復讐劇なのだが、設定に工夫が凝らしてある。殺人が重なるに連れ、事件の背景が次第に浮かび上がってくるというのは、常套手段なのだが、本事件の場合、男は犯人の"可能性"がある人物を次々と殺して行くのだ。この時点で男は既に狂気に陥っているのだが、それを虚無感を漂わせながら叙情的に描く所にウールリッチの手腕がある。
何の見返りも期待せず、唯絶望の淵で淡々と殺人を繰り返す男。書き方によっては、サイコ・サスペンスともなる物語を自己のウールリッチ・ワールドに閉じ込めたサスペンス小説の傑作。
好き嫌いはわかれると思います。おすすめ度
★★★★★
この本を知ったのはドラマを見たからでした。
暗い内容に淡々とした語り口なので、何の伏線もない単純な復讐劇に見えると思います。
当然というか実際にやるのは不可能なことばかりですが、復讐という目的にむかって正確にことをなしていくジョニーの行動は、もはや人ではないような不気味さがあります。
絶対に逃れることのできない災厄というにふさわしいのです。
その災厄が降りかかる原因を自分達が知らないうちに犯していたことも、それが実に些細な行動であったことも、その行動がもたらした結果が大きかったことも、恐怖を高めるのではないでしょうか。
女性版の復讐劇「黒衣の花嫁」もありますが、私はこちらのほうが好きです。
復讐劇が好きな方は楽しんで読めると思います。
しかし静かな小説ですので活劇を期待してはいけません。
じわじわとした恐怖を楽しんでください。
はっきりいって、すさまじい出来です。
おすすめ度 ★★★★★
これが発売されるのを心待ちにしていました
。他の方がコメントされているとおり、
こつこつお金を貯めてでも買う価値のある一品だと思います!